疲労についてを考える

疲労とは、体と心が発する「休息要求のサイン」と捉えることができます。疲労感の存在は、死にも繋がりかねない過労から体や心を守る大切なシステムなのです。しかし、私たちがさまざまな活動をしている限り、疲労そのものをなくすことはできません。

 疲労は、急性疲労(亜急性疲労)、日周性疲労(その日その日の疲れ)、慢性(蓄積)疲労に分類できます。急性疲労は、小休止や休息によって、日周性疲労は主に睡眠で回復します。しかし、慢性疲労は十分な休養が必要になります。 また、私たちは日常生活の中で、二つの疲れを体験しています。「ぐったり疲れ」と「さわやか疲れ」です。これを小説の読み方にたとえてみます。好きな小説を夢中になって読んでいると、疲れも感じないし、独語の疲労も心地良いですね。しかし同じ小説でも、「20日後までに感想文を書くように」などと言われ無理に読ませられると、ぐったりした疲労が残ります。「期日を決められた上に、途中でやめられないという高速緩や緊張感による疲れ」がぐったり疲れの原因です。私たちの業務においても同様のことが起こっています。 疲労感は、個々人が感じとれるものであり、「休みなさいという信号」なのだから、休息で回復します。上手にコントロールすれば蓄積して持ち越すこともなく、過労状態・慢性疲労を予防できるはずです。

疲労の定義は「過度の肉体的及び精神的活動、又は疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態」とありました。また、疲れたと感じたときの脳内の変化を見ると運動でもデスクワークでも脳の自律神経の中枢とされている視床下部や前帯状回と言われている領域が強く疲労していることが分かりました。つまり、激しい運動をしたときに使われるのは筋肉ですが、それを疲労と感じるのは脳なのです。疲労のメカニズムは、運動やデスクワークによって、細胞では大量の酸素が消費されると同時に活性酸素が発生します。この活性酸素が細胞を傷つけ、細胞・組織の機能を低下させます。これが脳へ疲労のシグナルを送るわけです。

 働く人を5つのタイプに分け、その危険度順に並べてみます。皆さんは、どのタイプに分類させるでしょうか。(東京ガス都市生活研究所による)①「仕事頑張り過ぎタイプ」(6%)、②「疲れ無頓着タイプ」(35%)、③「疲れ慢性タイプ」(31%)、④「疲れコントロールタイプ」(19%)、⑤「予防意識高めタイプ」(9%)となります。( )は全体に占める割合となります。対策として、一般的に疲労は病気としての認識が薄く、蓄積された疲労は着実に体を蝕んで健康に害を及ぼしていることを自覚することが何より大切であり、そして適切な対処をすることが非常に重要となります。また、ちょっとしたことですが、良質な睡眠の工夫に、シャワー浴から湯舟に入る習慣に切り替えることや朝食をしっかりと摂ることなどもあります。